海の見える山頂、花の咲く稜線

東京近郊の山登りのゆる~い日記です。。

【ナイトハイク】神奈川県最高峰からの大夜景 丹沢・蛭ヶ岳

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正月に蛭ヶ岳を登ったときに、都心の大展望を見て、次回ここに来るのはナイトハイクにしようと思っていました。

 

但し、登山道に雪が積もると、道迷いや滑落のリスクが高まり、特に厳冬期の山頂付近の最低気温はマイナス10℃以下まで下がり、トラブルに見舞われると非常に危険な状態となります。

 

まだ積雪のほとんどない今の時期が冬季のラストチャンスなので、10日間天気予報を見て、金曜日の晩の山行を予定していました。

金曜日は平日で都心のビルの灯りがあり、土日よりも光量のある夜景が見られます。

 

ところが、先週末に丹沢に降雪があり、蛭ヶ岳の頂上にも積雪があるとのこと。

北側斜面の登山道の階段が積雪で危ないと思い、木曜日の時点で山行は中止しようと思っていました。

 

金曜日の早朝に最近の蛭ヶ岳の山行記をネットで見ていると、前日に山行された方いらして、日没後に山頂から裏丹沢の登山口まで下山していました。

かなりのエキスパートの方のようでして、自分ではどうかな? と思っていましたが、その方の山行記に登山道の画像もあり、心配していた北側階段の積雪もアイゼンを持って行って慎重に降りれば大丈夫と判断し、山行を決めました。

 

元々、仕事を早上がりする予定で、昼過ぎに会社のビルの最上階から丹沢の稜線がちゃんと見えていたので、さっさと帰宅しました。

ネットで気象衛星の雲の画像と、帰りの中央線の車窓から見える丹沢の山並みがくっきり見えていたことから今晩は大丈夫そうだな。

 

15時半に自宅を車で出発。裏丹沢の青根の登山口までクルマを走らせます。

やはり平日の日中で時間がかかり、日没後に登山口のある林道に入ることになりました。

 

青根の集落を抜け、すぐに登山口の駐車スペースがあるのですが、今日はなんか距離が長いな~ぁ??

おかしいと思いながらもうしばらく進むと、林道から登山道への取り付きの道標が出てきました。

「ありゃりゃ、駐車スペースの先のゲートが今日は開いていて、ここまで来れちゃった。。」

 

この後、ゲート閉められちゃったら出れなくなっちゃうのが怖いので、すぐにゲートの集落側の駐車スペースまで引き返しました。

 

登山の支度をしていると軽トラが1台林道を下りてきて、こちらの様子を伺っていましたが、すぐに集落の方に走っていきました。「やっぱり車ここまでおろしてよかったみたい」

 

17時30分登山開始。

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コースは「青根登山口」→「八丁坂ノ頭」→「姫次」→「蛭ヶ岳」のピストンです。

 

最初はしばらく林道を歩きます。気にしていたゲートは開いたままでした。まあいっか。。

 

先ほど車で見た、登山道の取り付きから尾根を進みます。

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登山道はすでに薄暮も終わり真っ暗闇。ヘッドランプの灯りを頼りにどんどん登ってゆきます。 

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 気温は氷点下なのでしょうが、しばらく歩くと汗ばんでやや暑い感じがしました。

途中、「ゴー」という強い風に吹かれ、一気に体が冷えてしまいました。稜線は風が強いのかな。

やがて、登山道に積雪がでてきたので、途中の「姫次」まで上がってみて、登山道の雪と風の様子をみて先に進むかどうか決めることにしました。

 

「八丁坂ノ頭」で稜線に上がったら都心の夜景が見えてきました。(写真ブレブレですみません)f:id:the-holy-mountain-071:20190120003502j:plain

ここから「姫次」までの道のりで、左右のヤブから何回かガサガサと大きな音が聞こえます。

シカでしょうか? 大型の動物がいるのは間違いなかったのですが、お互い関わりたくなので、聞こえなかったことにしよう。

いちいち気にしてたらナイトハイクなんかできゃしない。。

 

そして「姫次」に到着。f:id:the-holy-mountain-071:20190120003459j:plain

風も収まったので、休憩して先に進むことにしました。

いつもはここから富士山と蛭ヶ岳がきれいに見えるのですが、夜は真っ暗だろうと思っておりました。

 

ところが、月光を浴びた富士山が真っ暗な西の空に浮かび上がっていて幻想的な風景を見ることができました。

蛭ヶ岳や斜面に雪を蓄えた檜洞丸など、丹沢の山々が月明かりに照らされています。(いずれも写真に収めることができず残念。。)

 

なんか、ここまでで満足かも。

 

その後、所々月明かりに照らされた登山道を慎重に進みます。

途中、何回か休憩を取ったのですが、麦茶を飲もうとすると飲み口が塞がっています。「フタのパッキンが外れたかな?」と思ったら飲み口が凍って固まってます。もちろん中味は氷入りのような冷たさ。カロリー補給のゼリーも硬くなって出が悪くなってます。

さらにリュックには氷が張り付いていて、リュックについた汗がバリバリに凍っていました。

 

また、途中の登りから、幾度となく足がつったような感じになりました。

あまり休まずに登ってきたこともあるのですが、寒さで筋肉が硬直してしまっているようです。

 

やがて、最後の登りに取り付き、雪の積もった長い階段を登りきるといよいよ頂上に到着。21時過ぎでした。

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ここまで3時間40分(休憩含む)。日中の登山よりやっぱり時間がかかりました。

 

すぐに毛のシャツを羽織って身体が冷えないようにし、頂上の山荘内に人がいるかも知れないので、ラジオを消し、鈴の音が鳴らないようにしました。

  

頂上からも見える幻想的な富士山と小田原や裾野の市街地の夜景を見た後、蛭ヶ岳小屋の東側に移動。

関東平野の大夜景です。f:id:the-holy-mountain-071:20190120003506j:plain

東京湾が黒く見え、航行している船舶の灯りまで見えました。

 

蛭ヶ岳は標高があるので、奥多摩の日の出山より遠望ができ、上から見下ろすようになるので見え方も違っています。前衛の山が手前に黒く見えるのですが、ここも迫力のある夜景が楽しめます。

 

やっぱり山から見える夜景は素晴らしい。

自分の暮らす街が、夜はさまざまの色の光の海になってこんなにきれいに見えるって。

ただただ感激です。

 

ところが、カメラにエラーが出てしまい、2枚目から写真が撮れなくなってしまいました。

露出とか絞りとかいろいろ調整したのですが、指がかじかんできたので写真は断念。

カメラを撤収して、夜景を目に焼きつけ下山することにしました。

 

下山開始後、雪の積もった階段がすぐに出てきたので慎重に降りました。f:id:the-holy-mountain-071:20190120003501j:plain

いちおう、6本爪と4本爪の軽アイゼンを持ってきたのですが、雪はまだ溶けて凍結しておらずサクサクしていたのでノーアイゼンで大丈夫でした。

 

下り坂を降りきると、姫次までは再び月明かりの中の稜線歩きでした。

途中、休憩して水分と栄養補給をしたのですが、水筒からはキンキンに冷えまくった麦茶とシャーベット状の氷の小片が。コンビニで買ったおにぎりは海苔の表面に氷が霜のように吹いていて、まさに冷凍食品状態でした。

(お腹壊しそ。。)

 

この稜線歩きでは、疲労と眠気でやや嫌気がさしてきました。

もう22時回ったな。今朝はいつも通り5時起きで会社行って、早帰りとはいえ仕事してからの山登りだし、昼食は蕎麦でお腹も減ってるし・・・とか考えながら、早く温かいベッドで眠りたいと、この先の避難小屋でいいから泊まって早く眠りたい思いでした。

 

やがて姫次まで戻ってきて、再度、富士山を眺めてみました。

月が天頂付近まで登っていたので、先ほどよりは輝きが褪せた感じがしましたが、やっぱり幻想的な風景です。

 

ここで、休憩して冷凍食品状態のおにぎりと、溶けたかき氷のような麦茶で栄養と水分補給。胃も寒さに強くないとダメみたい。

 

姫次~八丁坂ノ頭 間は夜はシカが多いようで、10分程度の間に数回ヤブで大きな音がしました。

いずれも無視を決め込んだのですが、一回だけ私の上の斜面を平行に動いていて、しつこいな~と思っていたら、そのうち大きな金属音がしました。

あらあら、モノレールかシカ柵(植生保護柵)にぶつかっちゃたのね。真っ暗だから。ケガしてないといいけど。

 

八丁坂ノ頭では最後の夜景を楽しみました。ここからも都心のビルや「東京スカイツリー」「東京タワー」などがよく見れます。

 

その後はひたすら下山。この時点で23時30分。

明日は午前中に草野球の練習があり朝早く出なければならないので、早く帰りたかったのですが、下り坂が続いて所々雪があるので、慎重に下りて行くことにしました。

 

但し、姫次までに感じていた嫌気は全くなくなり、高度を下げるにつれ体感温度も上がってきて暖かく感じるようになってきました。

 

途中、山の斜面に黄緑色に光る点が見え、2つあったのでシカのようでした。

ライトつけておどかしてシカが走り出したら危ないので、ここも見なかったことにしよっと。

 

約1時間の下りでやっと林道まで下りてきました。f:id:the-holy-mountain-071:20190120003503j:plain

登山道の入り口には蛭ヶ岳山荘スタッフさんの車が停まっていました。

 

10分間の林道歩きの後、登山口に到着。7時間10分(休憩含む)のナイトハイクを存分に楽しめた気分でした。

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でも、帰りを考えると次回は2、3時間早く出発した方がよさそうだな。

 

結局、林道ゲートは開いたままでした。f:id:the-holy-mountain-071:20190120003504j:plain

明日の朝早いこともあるので、車にリュックを積み込みすぐに家路につきました。

着替えをしなかったので、なかなか温まらない車内では濡れたシャツは登山中より寒さを感じました。

 

相模湖を過ぎると対向車も徐々に増え、高尾の市街地まで戻ってきた時はさすがにホッとした気分になりました。

また、日中の登山後の爽快感がナイトハイクでも同じように感じられました。

 

帰宅後は速攻で風呂を沸かして身体を温め、その後はベッドにもぐりこんで気を失うように眠りにつきました。

  

翌日、家でカメラをチェックしたのですが、あらら、ただメモリがいっぱいになっただけ。削除すれば夜景の写真いっぱい撮れたのに・・・もったいない思いでした。

 

でも、酷寒の夜の山頂では落ち着いて行動できないものですね。

生命の危険があることじゃなかったのですが、やっぱり通常時の判断ができないことがあると肝に銘じることにしました。